労働時間の長短と最低賃金の関係は?
Q
労働時間の長短と最低賃金の関係は?
製造業で長年働いていたが、定年となり今は嘱託として再雇用となる。給料は月13万円の定額。
1日8時間勤務で休日は土・日・祝日である。
出勤日の多い月は労働時間が長くなり(例えば8月は23日勤務で184時間)、時間単価が最低賃金を下回ってしまう。
一方出勤日の少ない月(例えば2月は19日勤務で152時間)は、時間単価が最低賃金を上回る。
月によって最低賃金を違反するときと、そうでないときになってしまうが、どのように考えればいいのか?
A
法的ポイント
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類の最低賃金があり、静岡県には、5業種の特定最低賃金があり、うち、4業種が製造業の最低賃金です。相談者の場合、業種の確認が必要です。
【詳しくは】
https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/roudoukyoku/roudou/chingin.html
相談者の業種が、4業種以外の場合、「地域別最低賃金」が適用となり、時間給が最低賃金未満の場合、50万円以下の罰金となります。(最低賃金法第4条1項、第40条)また、特定(産業別)最低賃金に該当する場合も、最賃額を下回る場合は、30万円以下の罰金となります。(労働基準法第24条、120条)
最低賃金の計算方法については、以下をご確認下さい。
【詳しくは】
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm
尚、相談者の場合、雇用形態が変わったので、嘱託として再雇用されたとき「労働契約」を結んでいるか確認する必要があります。最低賃金如何に関わらず、労働基準法第15条では「労働条件の明示」が義務付けられています。
- 労基法15条、労基法規則5条
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- 就業の場所・従事する業務に関する事項
- 始業・終業の時刻・休憩時間・休日・休暇・交代制に関する事項
- 賃金の決定・計算・支払方法、時期・締切日に関する事項
(日給か、週給か、月給かの確認が必要です) - 退職、解雇に関する事項
- 労働契約に期間を定めた場合には、労働契約の期間に関する事項
アドバイス
最低賃金の計算は、上述した労働条件のうち、3.の賃金の支払方法と5.の労働契約の期間により異なってきます。
◎労働契約の期間の定めがない。もしくは1年を超える期間を定めている場合は、上述したリンクを参考にしてください。
◎労働契約の期間が1年未満の場合は、契約期間の賃金総額を契約月数の勤務時間総数で割った金額が、最低賃金額以上であれば、各月の勤務時間に関わらず最低賃金法違反とはなりません。
その他、最低賃金について疑問などありましたら、お近くの労働基準監督署に相談して下さい。匿名による相談も受け付けます。 また、最低賃金法違反の場合、差額の請求はもちろんのこと、事業主には、罰金が科せられます。