深夜の仮眠は無給?
Q
深夜の仮眠は無給?
警備会社勤務。ビル管理の仕事。18:00~翌朝7:00まで勤務。その内22:00~5:00までは管理人室で仮眠する。仮眠はパジャマに着替えてもいいが、警報等がなった時にはいつでも対応できることを求められ、飲酒は禁止されている。
この時間は、「仮眠待機手当」として2,000円支払われるが、労働時間には入っていない。賃金不払いに該当しないか。
A
法的ポイント
- 労働時間、時間外手当にかかわる代表的な法律
- 労働基準法32条(労働時間)
- 「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
- 32条-2
- 「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
- 32条二
- 1箇月単位の変形労働時間制
- 32条三
- フレックスタイム制
- 32条四
- 1年単位の変形労働時間制
- 32条五
- 一週間単位の非定型的変形労働時間制
- 34条(休憩)
- 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」
- 34条-2
- 「……一斉に与えなければならない。ただし、……書面による協定があるときは、この限りでない。」
- 34条-3
- 「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。」
36条(時間外及び休日の労働)「使用者は、過半数を代表する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との書面による協定をし、労働基準監督署に届け出た場合、……協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。……」 - 37条(割増賃金)
- 41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
- この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
- -省略-
- -省略-
- 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
労働基準法施行規則 第34条(適用除外の許可)
- 108条(賃金台帳)
- 「使用者は、各事業上ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度遅滞なく記入しなければならない。」
- 109条(記録の保存)
- 「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。
永年、仮眠時間は一定の手当で対応することが一般的でしたが、最高裁判例:H14.2.28大星ビル管理事件」で「仮眠時間は労働時間である」との明確な基準が示されました。
アドバイス
最高裁は、「仮眠時間も労働時間」との判断を下しました。寝ているか、起きているかが問題ではなく、会社の指揮命令下にあったか、休憩時間のようにその場を離れることができる自由な時間であったかが判断の基準になりました。ビル内から離れることを禁止され、拘束されていることから、労働時間であり、深夜手当の対象となりました。なお、支払われていた「仮眠待機手当」2,000円は、時間外手当・深夜勤手当の支払清算される時は相殺されます。
また、監視業務の性格から、労働基準監督署長の許可により、労働時間管理の適用除外となる場合があります。