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「教えてユニオニオン」労働問題どう解決するの? No.06

僕は、高校を卒業してすぐ、大手自動車部品の関連子会社に勤務していました。その会社は従業員の出入りが激しい会社で、中途で入社する人たちも1年ももたずに辞めていくという状況でした。
みんなが辞めていく原因をひとことで言うと、「将来に夢が持てない」ということでした。年齢を重ねても昇給がわずかしかなく、結婚もできない状況が先に見えてくるからです。

将来に夢が持てない・・・、諦めムードの職場が労働組合結成で一転。

将来に夢が持てない・・・、諦めムードの職場が労働組合結成で一転。

僕は、高校を卒業してすぐ、大手自動車部品の関連子会社に勤務していました。その会社は従業員の出入りが激しい会社で、中途で入社する人たちも1年ももたずに辞めていくという状況でした。
みんなが辞めていく原因をひとことで言うと、「将来に夢が持てない」ということでした。年齢を重ねても昇給がわずかしかなく、結婚もできない状況が先に見えてくるからです。

将来に夢が持てない賃金制度、どんよりとした職場の雰囲気

僕はまだ若いので世間並みの給料をもらっていてピンとこなかったのですが、同じ職場の30代・40代の先輩と給料の話をすると、自分の給料とあまり差が無く、安い給料で将来どのように生活していくのかという未来図を描けないことは明白でした。
一方で親会社の方は、初任給はあまり変わらないもののキチンとした賃金制度があるために、年齢・勤続年数とともに給料がシッカリ上がっていくシステムになっていました。
ある先輩が同年代の親会社の社員と給料の話をしたら、3~5万円の差がついていることに愕然としていました。格差は給料だけではなく、各種手当や残業代の割増率や休暇制度などにもあり、同様の仕事をしているのに、なぜここまで広がるのかと疑問に思っていました。
しかし疑問に思っても、それを声にして発する勇気や気力のある従業員は誰一人としていない状況でした。こんな状況ですから職場の中は、活気が無く同じ職場でも会話は無く、どんよりとした空気が毎日流れていました。

賃金制度改悪の提案に仲間と一念発起

そんな環境で入社から4年経ち僕が22歳のときに、会社から突然、「賃金制度を変更する」という話が持ちかけられました。
最初は、これで親会社のように年齢・勤続とともに給料が上がっていくのではないかと期待しましたが、内容は僕達の期待を裏切るものでした。
その頃世間でよく言われていた成果主義賃金というものを取り入れるという話だったのです。基礎給と能力給の配分を変えて一定の成果をあげなければ、給料全体がさらに下がってしまう制度だったのです。
その話を聞いた僕はもう我慢の限界を超えていました。「だれも声をあげないのなら僕が立ち上がる」そうして一番仲がよく歳も近い先輩と相談して、連合静岡の労働相談ダイヤルに電話をしたのです。
受話器の向こうの相談員さんに、「このままの給料では将来結婚もできない。労働組合を作って何とかしたい。」と言ったことを今でもよく覚えています。
相談員さんはその後、僕の気持ちを落ち着かせてくれて職場の状況を詳しく聞いてくれました。

労働組合を作りたい一心で突き進んだ数ヶ月

数日後、僕と先輩はその相談員さんと自宅近くの喫茶店で会うこととなり、その時に労働組合に関することを詳しく教えてもらいました。
作ろうと思えば労働組合は簡単にできる。でも会社と交渉して労働条件や職場を改善させ、従業員のみんなからも賛同を得る組織にして、将来にわたって存続することが重要だと教わりました。
そのためには、何のために労働組合を作るのかという従業員が賛同できる動機、交渉相手である会社の情報、仲間作りの基礎となる従業員の環境などを把握しつつ、労働法などについても勉強しなければならないことがわかりました。
勉強は苦手でしたが、何とか労働組合を作りたいとの一心で、月に1~2回開催する労働組合結成準備委員会に出席しました。
準備委員会を開催する頃になると、中心になってくれる仲間が僕を含んで5人になり心強く思っていました。 しかし一方で5人の仕事の調整をすると、準備委員会を日曜日に開くことが多くなり、貴重な休日が無くなることは正直つらかったです。
準備委員会では、まず労働組合法などの基礎を学び、その後に職場の問題とその課題解決について準備委員会メンバーで話し合い、結成した時に示す会社への要求事項と従業員への加入アピールについてまとめて行きました。僕達の要求はもちろん「将来にわたって安心できる賃金制度の確立」でした。
その他、労働組合に入ってもらう従業員を増やすために、水面下で一人一人に休憩時間などを使って労働組合加入の意志を確認しました。
ほとんどの従業員が「できれば入る」と賛同してくれましたが、中には「いずれ辞めるから必要ない」 「組合費がいくらかで考える」などの様子見の意見もありました。

念願の労働組合の結成、職場の雰囲気が一新

このような結成準備委員会の活動を経て、ついに半年後、労働組合の結成をすることができました。この時、従業員の約60%が組合に加入してくれました。
結成と同時に会社には労働組合を作ったことを通知したのですが、親会社の役員が労働組合に大変理解のある人で、概ね友好的に受け止めてくれたことがうれしい誤算でした。
労働組合の要求事項をもとに団体交渉も滞り無く開催していましたが、一足飛びに労働条件が改善するところまでには至りませんでした。
しかし会社の対応について様子を見ていた従業員が、こぞって労働組合に入会の意志を示してくれ、結成から3ヶ月経った頃にはすべての従業員が労働組合に加入し、会社とユニオンショップ協定(会社と組合で、すべての従業員を労働組合員とすることを確認する協定)とチェックオフ協定(組合費を従業員の給料から天引きする協定)を結ぶまで至りました。
労働条件の向上や職場環境の改善に向けては、まだまだ課題はあります。
しかし、今まで将来に希望が持てず活気の無かった職場が、労働組合の結成を機に明るくなってきた気がするのは僕だけではないはずです。

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